味覚が子どもの私には酢は永遠の謎のような存在です。酸っぱくてとにかくにおいも嫌いです。
ところが、ちょっと甘くて酸っぱい、限りなく美味しい食べ物にご飯を変えてくれるのが御酢です。ここからは、酢ではなく敬意をもって御酢と呼ばなくてはなりません。
御酢は、食べ物を美味しく変えてくれます。また、腐敗を防いで食中毒から食品を守ってく
れます。さらに健康にも良い効果があります。こんな有難い調味料はとてもじゃないが簡単には得られません。
しかし、ツーンと来る匂いからはどうも苦手が付きまとってしまいます。
永遠に知りたくなかった御酢のつくり方ですが、お酒からつくると聞いてさらにびっくりです。
アルコールを食べて酢酸にする菌。名付けて酢酸菌、これも発酵です。しかし、お酒を酢
に変えてしまうのも酢酸菌の働きです。果たして、悪玉か善玉か?
そう言えばワインビネガーもワインのアルコール成分を酢に変身させてしまう酢酸菌の働きによってつくられます。
今の日本では信じがたいことですが、交通の便が悪かった私の子供時代。車と言えば1日
に数台が通るだけの街道しかなく、道をてくてく歩いて帰るときは本を読みながらでも危
険など全く知らないころの時代。
山奥の山村には海の生魚など一切入ってきません。刺身などがあることも知らず、寿司といえば、海苔で巻いた巻きずし。イナリ寿司。あとはちらし寿司。記憶にあるのはどれも生魚とは無縁の寿司でした。
今とは全く違った時代がまだそこにあったのです。ほんの数十年前のころ。
御寿司は、美味しかったですね。日本人だもの。